医師である私がケトジェニックを始めた理由


はじめまして。このブログ Doctor’s Keto Hack を運営している、都内の病院に勤務する医師です。外科・内科・救急を中心に臨床に携わっています。

最初の記事では、私がなぜケトジェニックダイエット(以下、ケトジェニック)を自分の生活に取り入れたのか、そのきっかけを率直にお話しします。

きっかけは「自分の数値」だった

医師になって十数年。当直明けの菓子パンとカフェラテ、コンビニおにぎり、そして夜食のラーメン。気づけば体重は学生時代から 10kg以上 増えていました。

ある年の健診で突きつけられたのが以下の数値です。

  • 空腹時血糖 107 mg/dL(境界域)
  • HbA1c 5.9%
  • 中性脂肪 185 mg/dL
  • HDLコレステロール 38 mg/dL

いわゆる メタボリックシンドローム予備軍 です。患者さんには「生活習慣を見直しましょう」と散々説明してきた私自身が、まさにそのゾーンに踏み込んでいたわけです。

糖質制限に踏み切った理由

最初に考えたのは一般的なカロリー制限でした。しかし当直や外勤でシフトが乱れる医師の生活では、「総カロリーを管理する」のは現実的に破綻します。食事の時間帯が日によって違うからです。

そこで注目したのが 糖質を減らすアプローチ でした。

  • 糖質を減らせば 食後血糖の急上昇 を抑えられる
  • インスリン分泌の頻度が減り、脂肪蓄積が起こりにくい
  • タンパク質・脂質中心の食事は満腹感が持続しやすい
  • 当直中でも「糖質だけ外す」という意思決定ができればOK

カロリー計算より判断が単純で、シフト勤務と相性が良い。これが決め手でした。

最初の2週間で起きた変化

スタートしてすぐ訪れたのは、ポジティブな変化だけではありませんでした。

ネガティブ面

  • 倦怠感: 糖質を急に切ると、体がケトン体利用に切り替わるまで数日〜2週間ほど「エネルギー切れ」のような疲労感が出ます。いわゆる ケトフル です
  • 便秘: 食物繊維と水分が不足しがちで、腸の動きが鈍りました
  • 集中力の低下: 最初の数日は、手術中の集中力が明らかに落ちました

ポジティブ面

  • 2週目に入る頃、朝起きたときの頭の重さ が消えました
  • 食後の強烈な眠気がほぼなくなった
  • 1ヶ月で体重が 3.2kg 減少
  • 中性脂肪が 185 → 98 mg/dL に改善

「ケトフル」を乗り越えた瞬間、コンディションの質が明確に一段階上がったのを覚えています。

医師としての葛藤

もちろん、「糖質制限」や「ケトジェニック」は医学的にも議論のあるテーマです。

  • 腎機能が低下している方には適さない
  • 1型糖尿病・妊娠中・授乳中は禁忌
  • 極端な実践は脂質異常・便秘・筋肉量低下のリスク

こうした 「適応と禁忌」 を見極めたうえで、健康な成人が正しく行えば、体重管理と代謝改善の強力なツールになり得る。そう判断して、自分自身を最初の被験者として取り組むことにしました。

このブログで伝えたいこと

このブログでは、私自身の実践と、患者さんに説明するときに使う医学的知識を交えて、以下を発信していきます。

  • ケトジェニックの仕組み・期待できる効果・限界
  • MCTオイル・プロテイン・サプリの 成分レベル でのレビュー
  • 続けるための現実的な工夫(外食・コンビニ・当直食)
  • エビデンスベースで「流行り」を冷静に吟味する

目指すのは「誰にでも無条件におすすめする」ことではなく、「読んだ人が自分で判断できる情報を揃える」ことです。

次回は、よく聞かれる「糖質制限って本当に体に悪くないの?」という疑問に、医師として正直にお答えします。